東急8500系を見た目ごとに大雑把に分類する



ここでは、"鉄 この部屋"様(http://www2.odn.ne.jp/~cbl81790/index.html)のこちらのページをベースに、独自調査も交えてよりディープに8500系の車体外見による形態分類をしてみようと思います。

では、早速ですが古い順にみていきましょう。

タイプA


デハ8516(7-2次車)

8500系の中では最も初期のタイプ。幕板部のコルゲートが車側灯部で途切れるタイプです。
8500系では一番見かけるタイプでしたが、大半が引退し2021年10月現在は8622Fのデハ8522、デハ8622、デハ8728が最後の活躍をしています。譲渡先でもよく見かけます。

以下の141両(6次車~9-2次車)が該当します。

デハ8501〜デハ8529
デハ8601〜デハ8629
デハ8701〜デハ8742
デハ8801〜デハ8822
サハ8901〜サハ8919


デハ8606(6次車)


デハ8514(7-1次車)

大人気8606Fや8614Fの先頭車もこのグループに該当します。

タイプA'


サハ8940(11-1次車)

軽量試作車デハ8400の後に登場した非軽量車グループ。基本的にタイプAを踏襲しますが、車側灯周りでコルゲートが途切れておらす、灯具がコルゲートの上から取り付けられるタイプになりました。また、台車形状も変更されています。



デハ8530(10-2次車)

タイプA'は8000系列全体では相当数製造されましたが、先頭車に限定するとデハ8530、デハ8630のみとなり稀有な存在です。
ほとんどの編成に連結されていましたが、廃車が進み2021年10月現在は8622Fに組み込まれるサハ8942と、8630Fに組み込まれるデハ8530、デハ8630、デハ8748、デハ8749、サハ8933が活躍しています。

以下の54両(10-1次車〜11-1次車、12-2次車)が該当します。

デハ8530
デハ8630
デハ8743〜デハ8749
デハ8823〜デハ8840
サハ8920〜サハ8946

タイプB(参考)


伊豆急モハ8104(元デハ8157、12-3次車)

8090系に準じて、8000系(狭義)で初めて軽量車体になったグループです。従来車と比べて、車体構造、窓構造、クーラーキセ、ドア内装など多くの点が変更になりました。
張り上げ屋根風の車体は8500系にも組み込まれていましたが、そちらは後述するタイプB'であり、このタイプは8500系には存在しません。

タイプB'


デハ8842(13次車)

12-3次車をさらに改良して登場したグループ。8500系ではじめての軽量車になりました。タイプBとの主な外見の違いは、

・屋根の絶縁体を塗り屋根に変更したため、キャンバス押さえの廃止
・側面幕の位置変更

が挙げられます。




分かりにくい写真で恐縮ですが、タイプBまでは上写真のように直下の窓と行先表示窓が左右揃いですが、タイプB'からは下写真のように直下の窓と行先表示窓が中央揃いになりました。(分かりやすい写真が見つかり次第、挿げ替えます)

東急では2020年5月の8626Fの引退で見られなくなりましたが、長野電鉄、秩父鉄道にそれぞれ1両ずつ譲渡され、少数派ながら存在感を放っています。

以下の8両(13次車)が該当します。

デハ8841〜デハ8843
サハ8947〜サハ8951

タイプC


デハ8772(15次車)

タイプB、タイプB'の張り上げ風屋根が従来車との混結において見た目的に問題視されたのか、14次車からは屋根の絶縁塗料部が拡大し、タイプA、タイプA'に合わせた外見になりました。車内はこの後も度々変更になりますが、外見ではしばらくこれで落ち着くことになります。15次車からは先頭車もこの形態で製造されました。


サハ8962(15次車)

中でも15次車の8号車サハには台車に塗油器が設置されているのが特徴です。(上写真右台車)
2021年10月現在は8622F、8630F、8631Fの各編成で見ることができます。

以下の125両(14次車〜17次車)が該当します。

デハ8531〜デハ8536
デハ8631〜デハ8636
デハ8750〜デハ8790
デハ8844〜デハ8894
サハ8952〜サハ8972

タイプC'


デハ8895(18-1次組込車)

9000系登場後に落成した18-1次車は大まかに編成車と組込車に大別され、編成車は大胆な設計変更がなされましたが(後述)、組込車は従来車への混結が製造の目的のため、わずかな設計変更にとどまりました。

タイプCとの主な外見の違いは、

・ジャンパ栓受けの変更
・ドアガラス押さえの変更

が挙げられます。ジャンパ栓受けの差については、上写真の左隣の車両がタイプC(デハ8782)なので分かりやすいと思います。




上: タイプC
下: タイプC'(と同型のタイプD')

上写真のようにガラス押さえがタイプCに比べて目立つようになりました。
2021年7月に8628Fが引退し、見納めとなりました。

以下の12両(18-1次組込車)が該当します。

デハ8791〜デハ8796
デハ8895〜デハ0800

このタイプC'で、初めてインフレナンバーが発生しました。

タイプD


デハ8642(19-1次編成車)

18-1次編成車以降が該当するタイプで、8500系の最終形態ともいえるグループです。9000系の設計の影響を強く受けていて、車内もガラッと変わっていますが、ここでは外見に注目すると、

・冷房装置の変更
・戸締り灯の小判型化
・パンタグラフの小型化

といった変更点があります。
青帯で人気な8637Fや大井町線の8500系もこのタイプです。


デハ8639(18-1次編成車)
大井町線所属編成は最後まで冷房装置が強化型に更新されませんでした。


デハ8799(18-1次編成車)
VVVF化改造車で、車体に見合わないVVVF装置が床下に見えます。


デハ0718(21次車)
切れてしまっていますが、8500系の最終増備車で、新製時からVVVF制御です。

2021年10月現在は、8637F10両がこの形態です。

以下の40両(18-1次編成車、18-2次編成車、19-1次編成車、21次車)が該当します。

デハ8537〜デハ8542
デハ8637〜デハ8642
デハ8797〜デハ0703、デハ0710、デハ0711、デハ0718
デハ0801〜デハ0809、デハ0818
サハ8973〜サハ8980

車番が飛び飛びなのは、合間に後述のタイプD'を製造しているためです。

タイプD'


デハ0812(19-2次車)

製造目的はタイプC'と同じく従来編成への組み込みですが、タイプDの設計が取り入れられ、組込車ながら戸締り灯が小判型になりました。


デハ0709(18-2次組込車)

タイプD譲りの小判型戸締り灯と、タイプB〜C'譲りの冷房装置ということで、非常に折衷的です。タイプC'との違いは戸締り灯程度と思われます。
2021年5月に8617Fが引退し、見納めとなりました。

以下の20両(18-2次組込車、19-1次組込車、19-2次車、20次車)が該当します。

デハ0704〜デハ0709、デハ0712〜0717
デハ0810〜デハ0817



さて、以上のタイプを編成表に照らし合わせてみましょう。


こちらは8619Fが引退した時に作成した編成表です。番号の重複が生じるので、2009年以降に残ったDT24編成、OM4編成に焦点を当ててみましょう。



次車という概念を取り除いて、すべてタイプごとに分けた表です(太字は更新車)。
この表から、ある程度編成ごとの特徴やほかの編成との類似性を見出すことができます。

例えば…
・非軽量車では、8620Fを除いて4、5号車はすべてCである(8620Fも編成組み換え前はそうだった)
・8616FはAとCのみで構成されていて、模型再現が比較的容易である
・8625Fと8626Fは6〜10号車で異なる車体が5連続している
・8614Fと8629F、8615Fと8627Fは同じ未更新車なだけでなく、タイプ組成が全く同じである
・2009年以降A'のデハ8700を組み込んでいるのは8630Fのみである

などなど。挙げたらきりがありません(笑)



以上で400両の大まかな分類でした。模型作成等の参考になったら幸いです。あくまでも個人的な分類方法ですので、"参考程度"でお願いします(^-^;

(2021.10.22)
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